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この世界がゲームだと俺だけが知っている 1(ウスバー)読了

この世界がゲームだと俺だけが知っている 1
バグだらけのゲーム世界に転生してバグを使って生き抜くギャグ小説。
ゲーマーならどこかでみたことがあるようなバグの嵐とこの世界で真剣に生きてる人々(NPC)とのギャップに思わず笑いがこみあげる・・・はずなんだけどどうしてなんだろうなぁ。自分には全然楽しめなかった。
一応自分も月に一本ゲームを買うぐらいのライトゲーマーでありゲームのバグを発見するのも大好きだ。なぜ自分はこの作品を楽しめなかったのか。


おそらくこの物語は著者がいままでにやってきたいろいろなゲームをモチーフに書かれていて、全体的に文章は未熟であるもののゲーム部分の描写は懇切丁寧でゲーマーならばすぐに情景を思い浮かべることができるだろう。小説を読んでるのだが、実際のゲームプレイを見ている感覚に近い体験ができる。
ニコニコ動画などにはバグを実況プレイするという趣旨の動画もあがっており、そちらは大きな人気を博している。


これらの動画はすごく面白い。ポケモンなんてもう何回プレイしたかもわからないというのにこの動画では新鮮な喜びができる。
なんでこんなに面白いかというとそれはなにが起こるかわからないからだと思う。
バグというのは本来予期してない挙動のことであり、バグ技を使う以上プレイヤーは全てを覚悟してプレイする。それこそストーリー進行不可やらフリーズやら下手したらゲームそのものができなくなるかもしれないけど、それ以上に面白いことになることを期待する。バグ技にはプレイヤーの期待が込められているのだ。
「この世界がゲームだと俺だけが知っている」の主人公はゲームをあきれるほどやりこんでいて全てのバグ技を熟知している。その点で“バグ技の楽しみ”は半減してしまっている。


そしてこの主人公、バグ技を使うのに何の悩みも葛藤もない。
転生されてきた世界はゲームをバグまで忠実に再現しながらも主人公に不都合な部分は綺麗に排除された住み良い世界。待ち受ける難関クエストもバグ技を使って回避する。主人公の前には困難も苦悩も訪れない。
この小説ではゲーマーにとって最も大切なものであろう、ゲームをクリアしたときの達成感が描かれない。

バグを使って楽に進行するだけのゲーム。そんなものをプレイしようなんて自分は思えない。

この世界がゲームだと俺だけが知っている 1

この世界がゲームだと俺だけが知っている 1