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ドエロじゃなければエロ小説じゃないと思っていた――「極地恋愛」

極地恋愛 1 (ビギニングノベルズ)

 

出版社様から献本を頂きました。

以前にも献本頂いて紹介した2作と同じビギニングノベルズで、つまりは男性向けエロラノベなのだけれど、この作品を読んですごいと思ったのはエロシーンがほとんどないことだ。

エロ小説に関してはそこまで詳しくないのだけど、少なくともいままで自分が読んだものはどれだけストーリー性重視だろうとノルマのようにエロシーンを挿入していて、1巻で少なくとも2,3箇所は抜きどころを作っておくのが作法なのかと思い込んでいた。

この「極地恋愛」は直接的な性描写は数カ所しかなく、それにしたっても本番ではなく前戯だったり自慰ぐらいである。無人島に男女5人が漂流するという半端無くエロ展開を誘発しそうなシチュエーションでありながら、全然エロ展開にならない。

別に男がインポとかホモセクシャルというわけではなく、それどころか表紙中央のキャラなんてバリバリ肉食系である。やらせてくれないのなら無理やり押し倒すことも辞さないような下半身に脳みそが付いているキャラである。

そんな危険人物までいて、なぜエロ展開にならないかというと主人公が全力で島の均衡を保たせているからである。

救助の見込みのない無人島生活。それなのに人間関係は最初から破綻。肉体以上に各自メンタル面の消耗が多く、そんなピリピリとした状況で誰かが誰かを押し倒したなんてことが起こればそりゃあそれまでの関係も全部崩れ落ちるってもので。

主人公とヒロインは、無人島生活をなんとしても生き残るために冷静を貫き通す。サバイバル知識と健康な肉体を持った主人公の庇護を受けようと馬鹿な女が体で誘惑しようとしてくるのも必死で自制心を発揮してこらえる。極限状況である。

読者はギリギリに保たれた均衡を何が崩すかもわからないようなハラハラ感を味合わされる。

そんなわけで直接的なエロシーンはほとんどないのだけど、全体から漂う官能的な匂いが普通のエロシーン以上にエロスである。途中、ヒロインが鬼ごっこしてつかまったら「たっぷりえっちなことしていい」って提案するくだりなんて、思わず涎がでてくるぐらいである。

エロシーンがないのにきちんと男性向け小説として成立していて、なおかつストーリーも面白い。読み終わった後に思わず「なるほどこういうのもありか」って声に出しちゃったよね。ゴローかよ。

既存のラノベ作家だと土橋真二郎作品とテイストがかなり似ているのでドバッシーファンは一読の価値あり。 

極地恋愛 1 (ビギニングノベルズ)

極地恋愛 1 (ビギニングノベルズ)

 

 

 

最初関連する話題として言及しようとしたけどよく考えれば全然関係なかった

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