西尾維新のリポグラム小説「りぽぐら!」
リポグラムという小説技法がある。特定の文字を使わずに小説を書くという試みだ。
本作はそのリポグラムの技法をもって、3つの短編を4通り書き直すという実験小説である。
1作目は妹が人殺しをする話。登場人物も妹や友達、母、父など他の言葉で置き換えやすく、制限も緩いためまだわかりやすい。
2作目は命をかけたギャンブルをする話。この話から文字の制限もきつくなってくるのだが、1作目に比べると「将棋崩し」「プレイヤー1」などの固有名詞がキーワードになっていたり、「そこに山があるからだ」などの格言の引用もあって、そうじゃなくても厳しい内容になっている。
3作目はなんと二人称小説であり、「君の世界では~」なんて感じで語り部が読者に語りかけてくる。二人称というだけでもかなり実験的なのに、この段になると制限は16文字。全文字数の1/4以上が制限される中で、まともな短編を書き上げられるのか。そんな興味の付きない話だ。
自分なら一番簡単な制限でもろくな文章を書ける気がしない。ただ、この実験的試みは読む側より書く側のほうが楽しいのではと思ってしまう。
パターンA:西尾維新のリポグラムノベル「りぽぐら!」
パターンB:西尾維新の制限文字ノベル
パターンC:維新記す損字小説
パターンD:物語シリーズ作者の文字欠け小説