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「アニメ化されるラノベの書き方」なんてない

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)8 ドラマCD付き限定特装版 (GA文庫)

 

seagull.hateblo.jp

 

これだけの作品が溢れる中、似たような設定と導入の作品が同じタイミングで放送されたことが面白かったです。「アニメ化されるラノベの書き方」みたいなマニュアルの存在を信じたくなるような。

ライトノベル原作アニメの共通点 ~ 学戦都市アスタリスク vs 落第騎士の英雄譚 - カモメのリズム

 

 

これと似たような言及は最近やたらと見かけるが、アニメ化されるラノベは決してアニメ化されるような要素を並べて書いているわけではない。書かれた要素の人気が出たからアニメ化されたのだ。

もちろん多くのライトノベルにとってアニメ化というのは大きな目標の一つに違いはないから、アニメ化しやすい設定やアニメ映えなどを考えながら書く作家も皆無ではないだろう。しかし今を生きるラノベ作家にとってアニメ化より重要なのは、次の巻を出してもらうことではないだろうか。

ライトノベルはそのほとんどがシリーズ物ではあるが、作者が望んでシリーズを書き続けられる作品は全体でもごく少数だろう。どんな人気作家だろうが売れなければ続きを書かせてもらえない。「物語シリーズ」がどんどん続く一方で「世界シリーズ」や「真庭語」は待ちぼうけだし、「灼眼のシャナ」が円満完結しても「A/Bシリーズ」は永遠に続きが出ないのだ。

続きを書くために創意工夫を凝らしたものが大勢に評価され、初めてアニメ化までこぎつけるのだ。最初からアニメ化される書き方なんてものがあるなら誰も苦労はしていない。様々な作品がいろいろな要素を書き連ねた中で、人気が出る要素を書けた作品のみがアニメ化されるに至った。だからアニメ化されるような人気作品は必然的にどこかの要素がかぶってしまうのだ。

 

 

さて、しかしだ。同じ原作もののアニメの中でも特にライトノベル原作は似寄った作品が多く見られるのも事実だ。漫画原作のアニメでは似た設定の作品が多いなんて話は聞かない。なぜライトノベル原作ばかりこうまで似寄ってしまうのか。それはライトノベルのサイクルの早さに起因するだろう。

ライトノベルは漫画に比べ、刊行スピードが早い。1年で4冊出るのはざらで、筆の速い作家は2ヶ月に1冊、もしくはそれ以上のペースで続刊を出していく。対して漫画はどうしても描くのに時間がかかる。雑誌に載って、それが単行本に纏まるまでの期間も考えると、作者の考えた内容が世間多くの読者の目に触れるまでに1年以上経っていることだってあるだろう。さらにその作品の人気が出て、シリーズが続いてアニメ化されるとなると5年以上の歳月はくだらない。読者にウケるだろう要素を思いついても、すでに何かの連載をしている漫画家は気軽に別作品を描き始めるわけにはいかない。そうするうちに、思いついた時には面白かった要素も、時が経って風化してしまう。

その点、生産スピードの早いライトノベルは読者の声のフィードバックも容易だ。今人気の要素をリサーチし数ヶ月後には作品として発表できる。いろんな設定を試しながら読者の感触がいいものを調べつつ作品を書ける。

特にWEB小説ではこれが顕著で、ランキングという人気が可視化される機能もあるおかげで、人気の要素はこぞって真似される。そのせいか流行り廃りのサイクルも早い。書き手は常に最新の流行のリサーチが求められる。決してどの作者もアニメ化作品の二番煎じ三番煎じをやろうとしているわけではない、どの作品も純粋に流行の最先端を研究している。ライトノベルはその生産サイクルの早さゆえに発表時期がかぶり、アニメ化のタイミングまで重なってしまうのだ。

 

 

結果としてアニメ組から「○○のパクリ」だとか「テンプレ乙」だとか叩かれる。

発表当時では最新の流行が、アニメ化されるころには“テンプレ”化してしまった。誰も最初からテンプレートを使用しているわけではない。

学戦都市アスタリスク<学戦都市アスタリスク> (MF文庫J)

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落第騎士の英雄譚<キャバルリィ>【電子特装版】 (GA文庫)

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