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『この恋と、その未来。』森橋ビンゴは「一般向け」なのか?

この恋と、その未来。 -一年目 夏秋- (ファミ通文庫)

この恋と、その未来。 -一年目 冬- (ファミ通文庫)

 

ここ数日森橋ビンゴ作品は一般向けだからラノベ読者受けしない」みたいな言説が散見されるが、みんなに内緒で女の子と同性生活っていう思春期男子の股間に豪速球ドストレートな設定が読者からカテエラ判定されると思えないのだけど、その他のビンゴ作品にしても、この森橋ビンゴという作家は若者の繊細な感情の揺れ動きと思春期男子の股間の揺れ動きに関しては他の追随を許さぬ迫真の描写を続けてきて、それが評価されてきたんじゃないのか。イマイチ人気が出ない理由はいろいろあるのだろうけど、カテエラだからというのは大きな理由ではないと思う。

 

じゃあカテエラじゃないのに人気でないってなんなんだよとはなるだろうが、森橋ビンゴ作品は人に勧めづらいというのが原因の一つとしてあるんじゃないかと思う。

自分も森橋ビンゴ作品好きで、常々他人におすすめしてきたわけだけれども、どうも言葉を濁し気味にしてしまう部分があって、特に今回読んだ『この恋と、その未来。』2,3巻にはそういった部分が凝縮されていたように感じる。

 

この恋と、その未来。』2,3巻では、主人公のイヤな部分を徹底的に見せつけられる。一応、未来のことやまわりのみんなのことをちゃんと考えて行動しているような描かれ方をしているが、実際こいつ自分のことしか考えてないよね。周りの友達どころかヒロインである未来の姿まで見えていない。盲目状態。やることは全部から回っていくしなあなあを嫌ってなのか、あえて未来と距離を取る選択をしつづける一人相撲。俺はあいつのことを想って、ゆえに苦悩している――スイーツ(笑)。本当に頭の中が全部糖で出来ているんじゃないかってくらいの自己完結型恋愛脳で吐き気を感じるレベルのゴミクズ主人公っぷりである。

いやまあ散々貶したけど、一人の女の子のために頭抱えて悩んで意味不明な所業を始めるというのは思春期男子の行動描写としてはかなりリアリティあるし、そういう暴走気味なところもありながら前進してくれればそれはそれでよかったのだが、この主人公はどこまでも煮え切らない。

自分にクズの自覚があるなら直せばいい、直せないなら開き直ればいい。そんなスタイルならばまだ肯定できるし、共感もし得たが、この主人公は――というかこの森橋ビンゴという作家は、自らの欠点にある程度自覚的でありながら、それを改めたり視点を変えたりはせず、欠点のある自分をそのまま誰かに肯定してほしいという甘えがある。

要するに自分を自分が肯定できないから、誰かに肯定してほしいというお子様な承認欲求が隠しきれていないのだ。そういった思考が行動に出ているからどうにもガキっぽいし読んでいて気持よくない。かえって胸糞悪い。難しい恋だってわかっているのならさっさとどうするか決めてしまえばいいのにうだうだうだうだ3巻もかけやがって。

結局この作品が描いているのは性同一性障害の女の子と男の子の難しい恋愛」ではなく「性同一性障害の女の子を好きになってしまったこの俺の苦悩」なので、正直この巻まででも性同一性障害という題材を上手く扱えているとは言いがたいし、「ヒロインは性同一性障害の女の子」というキャッチから内容が気持ち悪い方向に乖離しすぎていて、人に勧めづらい。というか勧めるのがめんどうくさい。「いいから黙って読め」といえるような作品ではない。

 

しかし、この主人公の気持ち悪さはこの作品の確かな魅力でもある。だって、実際に中高生男子って気持ち悪いもん。同意も肯定も共感もしないけど、この思春期男子の気持ち悪さのリアリティ具合は他の作品で読めるものではない。ゆえに自分は森橋ビンゴ作品の主人公が吐き気を催すほど嫌いだが、森橋ビンゴ作品は大大大大大好きマジ愛しているのである。

誰だってみんな承認されたいに決まってるじゃんか。少しは他人のこと考えろバーカバーカ!

勝手に承認されろクズ!!


 

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