ラノベアニメのアニソンを語る必要性を感じた
ちょっと前にTwitterで好きなラノベアニソンを挙げる流れがあって、それは以下のまとめにまとまってるんだが
togetter.com
ラノベアニソンってなんだろうってちょっと考える。考えてしまう。楽曲をアニソンという単位で区切る必然性はある。アニメをラノベ原作で区切る必要性もわかる。アニソンをラノベアニソンという単位で区切る必然はあるか。必要を感じるか。
アニソンという括りの中からいくつかラノベアニソンを引っ張り出したところでラノベアニソンが特別他のアニソンと違うところがあるわけでもなく、わかるのはその歌がたまたまラノベアニメの曲として選ばれたということだろう。ラノベはラノベとして生まれるべく生を受け、そのラノベを親とするラノベアニメもラノベアニメとして生を受けるが、果たしてラノベアニソンはラノベアニソンとして生まれるべくして生み出されているのだろうか。もちろんどの曲にもその曲を作った人がいて、それら作曲者たちはしっかりと原作やプロットを読み込んで作詞・作曲に取り組んでいるだろう。ただそれらの作業にラノベ原作だから特別こうしたのだという理由は存在するのであろうか。ラノベアニメに関していえば、原作が文字媒体だからやれああいう工夫をした、他には見られない演出を取り入れただなんて話は殊によく聞くが、曲というものを作るにあたって元になったものが絵であるとか文字であるとかそういう情報がなにか干渉するだろうか。おそらく作曲をする人はラノベアニメでもその他のアニメであっても平等に同じように作曲するだろう。プロの作曲家というのは、モチーフが小説だろうが漫画だろうがアニメだろうが個人だろうがなにも関係なく、そのモチーフに沿った曲を作ろうとするだろう。逆に全く根拠もへったくれもないことではあるがラノベアニメだからといって他のアニメと違った風にこしらえるのはよくないことのようにも思えるのは自分の考えすぎだろうか。
ゆえにラノベアニソンという区切りでアニソンを語る必要はないはずなのだ。他のアニソンとラノベアニソンとの差が見出だせない以上、ラノベアニソンというテーマはどこまで掘り下げようとアニソンというテーマの語り以下に納まる未来しかないはずだ。
それなのになぜ自分はラノベアニソンという話題についてこうして書き連ねているのだろう。なぜ語る意味の薄いテーマに固執しているのだろう。なぜ自分はラノベアニソンについて語りたがっているのか、どうか教えてほしい。
そう、自分はラノベアニソンについて語りたがっているのだ。
この記事には論理だった結論もなにもない。ただ自分がラノベアニソンについて語りたい。それがこのテーマを語る必然なのだ。
さて、前置きが長くなったが本題に移ろう。
ご存知の通り、アニメソングは基本的にそのアニメの製作委員会に名を連ねるレコード会社が手がける。ラノベアニソンを語るにおいて個人的にまず押さえて置きたいのがワーナー、ユニバーサル(旧ジェネオン)である。過去にラノベアニメについて語った記事でも触れたが、これらの会社はラノベアニメ黎明期からラノベとは縁があり、かつアニメ製作事業・レコード事業も関連会社が手がける企業だ。
ライトノベルとアニメ製作会社 その1(ジェネオン、ワーナー) - 主にライトノベルを読むよ^0^/
ジェネオン全盛期といえば昔からのアニメファンには懐かしさを感じる人もいるのではなかろうか。アニメの間にCMが流れたかと思えばジェネオン、どのアニメでもジェネオン、そんな時代があったのだ。そんなアニメ業界全体に席巻していたぐらいなわけだからラノベアニメにおいても例外であるはずがなく当時はジェネオンのアニソンだらけだった。
最初に特筆したいのはやはり『灼眼のシャナ』だろう。
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「灼眼のシャナ」OPテーマ 緋色(ひしょく) の空(通常盤)
- アーティスト: 川田まみ,中沢伴行,井内舞子
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2005/11/09
- メディア: CD
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3期に渡ったシャナシリーズを象徴し、歌手川田まみの楽曲としても非常に高い評価を誇る楽曲がこの「緋色の空」だ。これは川田まみが初めて単独で作詞を行った曲でもあり、タイトルが「ひいろ」ではなく「ひしょく」と読ませたりするところなどからもわかるように原作の世界観を知ってもらうために歌詞の随所に独特なワードを散りばめられている。
ただ、シャナの世界観を散りばめるだけならばシャナシリーズで使われた楽曲は他にも粒ぞろいであり、2期OPの「JOINT」のほうが楽曲の評価も上である。この曲をラノベアニソンとして第一に語る理由。そしてこの曲がシャナシリーズの象徴として扱われる理由は他にある。
それはこの曲がストーリーを描いているからだ。川田まみは原作のプロットから読み取ったテーマを詞に込め。そしてそれをストーリ仕立てに歌ったのだ。わかりやすい別の例をあげるとシュタゲの「Hacking to the Gate」と同じ。作品が紡ぎ出していくテーマを読み取った上で楽曲として昇華させている。だからみんな三期のラストではこの曲を待望し、それが叶ったのだ。
余談だがC/Wの曲も大変よい曲なので是非CDを買って聞いてみてほしい。「amazon music」などでも聞けると思う。すごくいい。きいて。
ジェネオンの話をすると結局I've最高という話に帰結してしまう。I'veサウンドはラノベアニメと相性がいいのだろうか?
そんなI'veサウンドでシャナや電撃作品以外のクールなラノベアニソンがこの『東京レイヴンズ』のOP「x-encounter」だ。
X-encounter (通常盤) TVアニメ「東京レイヴンズ」オープニングテーマ
- アーティスト: 黒崎真音
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2013/11/06
- メディア: CD
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この曲についてはとにかくかっこいいというほか無い。もう5年前の曲だけど後にも先にもこれほど挑戦的なOPテーマは出てきてない。それでいて作品の雰囲気をこれでもかとばかりに表現できている。絶妙なバランスの上に成り立った1曲だ。黒崎真音というアーティストのスペックをフルで活用して誕生した奇跡の一曲といえるだろう。
そしてもう1曲。ジェネオンではなくワーナーだが個人的に好きなのが『アクセル・ワールド』のED「→unfinished→」
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『アクセル・ワールド』もシャナシリーズに負けず劣らず名曲ぞろいだが自分は最初のEDが好きだ。EDは基本的にどのアニメも静かな曲調で終わりを意識させるものが多い。しかしこの曲は題名通り終わらない。終わらず、もっと先へと続いていく。EDなのに終わらず続いていくというのが作品のテーマとマッチしていてEDなのにテンションあがりっぱなしで次の話が速く見たくなる。高揚感あふれる最高の曲だ。
他にジェネオンが手がけていたラノベアニソンだと『禁書シリーズ』や『アリソン』、乃木坂春香、ドクロちゃんなど前述の記事のとおりほとんどが電撃文庫の名作だ。
どれも珠玉のラノベアニソンであるが、もう一つジェネオンのラノベアニソンとして特筆して置きたいのが『迷い猫オーバーラン!』のOP「はっぴぃ にゅう にゃあ」だろう。
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- アーティスト: 伊藤かな恵&井口裕香&竹達彩奈(芹沢文乃&梅ノ森千世&霧谷希)
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2010/05/12
- メディア: CD
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ラノベアニソンという括りにおさまらず、歴史的な電波ソングとして名をはせる曲だ。あの特徴的なイントロが流れ出したが最後、もう”んでんで”せずにはいられない。底抜けに明るく楽しいラノベアニソンである。この曲のすごいのはなんといってもその一度聞いたら脳裏に焼き付いて離れない独特で強烈な歌詞だ。メロが頭に浮かべば歌詞も一緒に浮上する感覚。んでっ!んでっ!んでっ!にゃ~んでっ!とくればもう自動的に次のかまってかまって欲しいのが脳内で紡がれてる。この記事を読んでいる読者らの脳内でも勝手に曲が再生されているに違いない。
ジェネオンの他にラノベアニメに縁のあるアニソンレーベルと言われればスターチャイルド(キングレコード)の名をあげよう。手がけているラノベアニメの本数は多いとは言えないが、どれも粒ぞろいだ。個人的にスタチャが関わる作品は原作愛を感じるものが多く、どれも好感を持てる。人気どころだと『とらドラ!』や『まよチキ!』『ミニスカ宇宙海賊』『電波女と青春男』など堀江由衣やももクロが歌ってればそれがスタチャだ。
そんなスタチャのラノベアニソンでとりわけ記憶に残っているのが『いぬかみっ!』の「友情物語」だ。
当時絶大なる人気を博したアニソンユニット「Aice5」による楽曲である。
はちゃめちゃに楽しく、作品を象徴する楽曲だ。ED曲ながら人気は凄まじく、当時のアニメ実況ではEDが流れた時には莫大な反応があった。そもそも作品がいわゆる釣り作品のような作りで、シリアスなOPにお下劣な内容、そして楽しいEDという良い意味でバカバカしい感じの作品だったのだが、その中でも特殊EDが使用された回は今でも伝説のエピソードとして語り継がれている。スタッフの悪ノリが見て取れるようで楽しすぎるEDだった。曲自体すごくいい曲なのだが、それ以上にアニメーションとともに記憶に残る名ラノベアニソンである。劇場版仕様の特別Verも良かった。
そしてアニソンを語る上で外せないレーベルの話もしよう。アニソンといえばここという人も多いのではないだろうか、そう、ランティスである。
ランティスのラノベアニソンといえば『涼宮ハルヒシリーズ』を筆頭に『中二病でも恋がしたい!』『氷菓』などの京アニ制作アニメ全般や『境界線上のホライゾン』『神様のメモ帳』『バカとテストと召喚獣』『妹さえいればいい。』など大人気タイトルの楽曲を多数手がけている。ランティス系のラノベアニソンだけど記事が1本かけるくらい名曲ぞろいだ。何本か個人的にピックアップさせてもらうとこんな感じになる。
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- アーティスト: Larval Stage Planning,畑亜貴,桐島愛里,高瀬一矢
- 出版社/メーカー: ランティス
- 発売日: 2011/07/27
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ほんとランティス系のアニソンだけでいくらでも語ることができてしまいそうだ。様々な系統の曲があるが、やはり超ベテランアニソン作家畑亜貴らなどによる萌系曲の多さとそのクオリティは他レーベルを圧倒している。安心のランティス。信頼の畑亜貴だ。
そして嬉しいことにランティスの曲はほとんどが定額アニソン聴き放題サービスのANiUTaで聴ける。CD買う必要もなく手軽なので是非おすすめしたい。というかさっさと他のレーベルもANiUTaに参入してほしい。CDとか今どき買わないだろ。
そしてランティス系のなかでもトップの曲は『IS 〈インフィニット・ストラトス〉
』の 「SUPER∞STREAM」だろう。
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- アーティスト: 篠ノ之箒(CV:日笠陽子),セシリア・オルコット(CV:ゆかな),凰鈴音(CV:下田麻美),シャルル・デュノア(CV:花澤香菜),ラウラ・ボーデヴィッヒ(CV:井上麻里奈)
- 出版社/メーカー: ランティス
- 発売日: 2011/02/16
- メディア: CD
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最初は篠ノ之箒1人で歌うEDが、本編でヒロインが出揃うたびにひとりまたひとりと増えていく。ハーレムラノベアニソンとしてこれ以上ない演出。そして聞くとそのまま走り出したくなるようなエネルギッシュなメロディ。それぞれのヒロインの可愛さと、すべてのヒロインが与えてくれるエネルギーを詰め込んだ素晴らしいナンバーだ。どんなときでもこの曲を聞くと元気になること間違いなし。まさに最高のラノベアニソンだ。
自らラノベレーベルを持つ角川やメディアファクトリーもレコード事業を持っているが、他のレーベルに比べると曲自体が少ないため個人的にグッとくる曲は少ない。角川はほぼ野水いおりだし。MFはほぼ鈴木このみだし。所属歌手がそもそも少ない。
ただ一曲素晴らしい曲がある。『幼女戦記』ED「Los! Los! Los!」だ。
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TVアニメ「 幼女戦記 」エンディングテーマ「 Los! Los! Los! 」
- アーティスト: ターニャ・デグレチャフ(CV:悠木碧),悠木碧
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2017/02/22
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全体的にアップテンポなラインと踊るような鍵盤の音が織りなすゲームのボス曲のようなハイテンションなメロディもすごいが、なんといっても悠木碧である。悠木碧がすごい。すごすぎる。幼女戦記のキャラクターターニャとして朗々と歌い上げるその声は否が応でもその存在を脳裏に刻み込む。ヘヴィなサウンドに悠木碧の声が組み合わせることによって独特の中毒性を生み出している。そしてサビである。サビの大盛り上がりよ。これがEDでいいのか。1曲の曲として完成度がとにかくすごい。
最後に紹介するのはラノベアニメとは縁が薄いポニキャンレーベルの曲だ。
そう、『フルメタル・パニック!』OPの「南風」である。
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この選曲に異議を覚える人はきっとフルメタ2期をまともにみていないのだろう。2期ラストのクライマックスを見てこの曲を好きにならない人などいるのだろうか。アニメ2期の演出がばっちりだったことで、フルメタ=この曲というイメージが固定されてしまい、原作を読み返すときでも脳内にこの曲が流れ出す。ラノベアニソンの面目躍如と言える。
いろいろと難しそうではあるが是非いまやってるアニメのクライマックスでもこれを聞きたいものである。