7月4日「文化祭の夢に、おちる 」サスペンス風SF仕立て青春小説
桐乃高校の文化祭には、他の高校にはない二つの特徴がある。
一つは、三年に一度しか行われないこと。もう一つは春でも秋でもない七月の五日に行われるということ。
この物語は、そんな文化祭の前日。7月4日に起きた不思議な事件を描いた話だ。
文化祭の前日、準備中の事故に巻き込まれた相原円は、突如誰もいない世界へと放り込まれる。どこまでも深く、青い空。華々しく飾られた学校。しかし、そこには自分以外の生徒は誰一人として存在しないのだ。
なんともなしに不気味な空間と空気感の描写がうまく、すごく魅せる描き方で世界に惹きこまれるのだが、締りがない。
面白かったのだが、最終的にどんな話だったのかと聞かれるとひどくあやふやになる。記事タイトルのように“サスペンス風SF仕立て青春小説”とでも言うしかない。
サスペンスというにはオチが弱く、SFと言い切るには仕掛けが弱く、青春小説という言葉が一番しっくりくるが、思い切りがない。
事故が起きた時の緊迫や誰もいない校舎の空恐ろしさは好きなのでどうにかオススメしたいのだけど、どうやら自分にも思い切りが足りない。
表紙とタイトルでピンと来た人は読んで損はないと思う。
発売日2012年の7月から3年後の7月に。