味わい深く奥深いジュブナイルポルノ名タイトルの旅
これ今度本当に出版されるラノベらしいんすけど、最近のラノベはまずタイトルを考えてそこから内容を作ってるんじゃないかとしみじみ思う pic.twitter.com/n5EE314IFR
— ぷるーぶ (@prooooove) January 13, 2016
宝くじで1億ならぬ1オークが当たって毎晩寝込みを襲ってくるんですけれど、どうしたらいいんですの? (オシリス文庫)
去年の春から大学生になったばかりの@proooooveくん!
そいつは普通のライトノベルじゃない!! ジュブナイルポルノだ!!
「ラノベと何が違うの?」って思うかもしれないが、ジュブナイルポルノはストレートなエッチ描写がウリで、内容もほとんどがエロエロなそのものすばりの官能小説なんだ。最近はエロライトノベルなどとも言われているね!
なーに心配はいらないよ、ジュブナイルポルノはエロゲーやエロ漫画と違って年齢制限がないから、ついついうっかりオシリス文庫の広告にアクセスしてしまうようなむっつりの@proooooveくんでも問題なく購入することができるんだ!
そんな素晴らしいジュブナイルポルノには誰もが振り向くような面白いタイトルがいっぱい!
西尾維新と入間人間が大好きなナウでヤングな@proooooveくんにもお気に入りのタイトルがみつかること間違いなし!!
今日は数あるジュブナイルポルノ作品の中でもぶっ飛んだタイトルの作品を紹介するぞ。
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ライトノベルのアニメ化は破綻しているのか?
ライトノベルのアニメ化はそもそもが破綻してるような気がしてきた。 | AniSosa
今まで色々なライトノベルがアニメ化されてきました。しかし、その中でアニメ業界を代表するような作品はほとんど無かったと思います。放送中の反応は大きくても、放送終了時には、期待されていなかった原作の作品や、オリジナル作品の話題であることが多く、次の作品が放送され始めると、全くと言っていいほど話題に上がらなくなります。
「 アニメ業界を代表するような作品」の解釈は分かれそうだが、「涼宮ハルヒシリーズ」や「物語シリーズ」などは全てのアニメ作品の中でもトップランクのセールスを記録しているし、
続編が見たいアニメアンケート*1などでもライトノベル作品が上位を占めていることから、放送終了後に話題にならなくなっているわけでもないだろう。
端的にいうと「お金を出しているアニメ出資社側の商品は売れず、お金を出してない出版社側の商品が売れるという現状」がある。
上に挙げた作品以外にもライトノベル原作でBlu-rayが売れたアニメ作品なんて腐るほどあるし、*2ライトノベル原作アニメはまず製作委員会方式で作られるので、出版社側がお金を出していないというのも間違いである。
というように上記の記事は前提からして何もかもが間違っており、全く的を得てないすかぽんたんな記事なのだが、自分はそれとは別にライトノベルのアニメ化について心配している。
というのも、アニメ化の原作販促効果が失われつつあるのだ。
下の記事はアニメ化したライトノベルの売上について、オリコンのデータを使って比較した4年前の記事である。アニメ化前は数万部の作品が、アニメ後には5万部以上、10万部を超える作品もざらにあるのがわかると思う。
アニメ化前からの元々の売れ行きにも左右されるが、ラノベの売上に注目する人の間ではアニメ化後の最新刊の売上は5万部が一つのボーダーとされている。アニメ化後に5万部以上売れた作品は販促成功と見る向きだ。実際、2013年頃までは人気作品の売上は5万部を超えるのがざらだった。しかし最近になって5万部のボーダーを超える作品は減少し、今年に至っては『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』と『オーバーロード』の2作のみである。
参考:http://www.matolabel.net/archives/49221790.html
ボーダーを超えた2作の売上だけに着目すれば2作とも空前の大ヒットなのだが、その他の作品は死屍累々である。以下に今年新たにアニメ化したライトノベル作品のアニメ化前最新刊のオリコン売上数字とアニメ化後近刊の数字を並べる
『銃皇無尽のファフニール』はアニメ化前4,998部→アニメ化後6,702部
『聖剣使いの禁呪詠唱』17,275部→21,266部
『アブソリュート・デュオ』12,288部→12,402部
『新妹魔王の契約者』19,133部→27,895部※限定版合算
『冴えない彼女の育て方』15,215部→30,569部
『終わりのセラフ』15,843部→33,020部※2期放送中
『空戦魔導士候補生の教官』9,262部→12,966部
参考:http://www.matolabel.net/archives/cat_849794.html
アニメ化前から+1万部以上されているのが限定版と通常版が合算された新妹魔王(追記:新妹魔王ではなく『冴えない彼女の育て方』でした)と2期が放送中の『終わりのセラフ』だけである。放送が終了して間近の秋アニメの中では『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件』『落第騎士の英雄譚』が+1万部以上で成功の部類に入るがそれでも5万部のボーダーは厳しそうである。
アニメのBlu-rayの売上が良くても原作が売れなければそもそもに続かないわけで、アニメ化も難しくなってくるだろう。それでも今は大ヒットする作品が年に1作は必ずあるが、このまま販促効果が減少していく傾向が続けば、原作販促としてのアニメ化は出来なくなってしまうのではないかと危惧している。
あと記事とは関係ないが、来る冬コミで頒布されるアニメ・マンガ評論刊行会の「アニバタ Vol.13」にラノベアニメについての記事を寄稿した。
内容は2015年のラノベアニメに対する雑感であり、アニメは見ているがあまりラノベには詳しくないような人には面白く読んでもらえるように書いたが、普段からこのサイトに訪れているような層には物足りない内容だと思われる。しかしせっかく書いたので、冬コミに行かれる方は是非手にとっていただきたい。
冬コミ新刊は「アイドルマスター シンデレラガールズ」特集と「アニメ評論界隈の人々の告白」特集の2冊を出します。前者はデレマスに絞った評論本、後者はざっくばらんな活動報告本です。https://t.co/VVBbYX2r40 pic.twitter.com/PVqkdg4nbR
— たつざわ@3日目東ピ32b デレマス評論 (@tatsuzawa) December 23, 2015
『キノの旅 XIX the Beautiful World』の「プロローグ」と「エピローグ」について
「キノの旅」というシリーズは連作短編なわけだけど、その各巻での印象の大部分を占めるのは「プロローグ」と「エピローグ」だと思っている。
他に印象的な話がないわけではないが、読んでから時間が経ち、後々になって特定の巻を振り返るときに自分は「そういえばあの巻はああいうプロローグだったなあ」という風に思い返す。他に面白い話があったとしても、エピソード単位ではなく巻という単位で振り返った時にまず頭に浮かぶのはプロローグでありエピローグなのだ。
そんなわけで毎年の恒例と化しているこのシリーズに大きく期待している点はプロローグとエピローグが面白い話かどうかなのだが、だからこそ声とフォントを大にしていいたい。
19巻のプロローグとエピローグはつまらなかった。
まずプロローグ読んだ段階でオチが読める。いや、まあそれだけなら別に構わないのだけど、この話aとbに分ける必要ある?
時系列順に書いても成立しそうだし、プロローグから読んで考えさせられるようなテーマも感じない。何よりプロローグで設定を明かしすぎてエピローグへの期待感が薄い。重要そうなワードを先出ししちゃってるから頭のなかでも膨らませる余地が無い。正直、もっとプロローグに適した話があったと思う、「助けに来た国」とか。というか「助けに来た国」をプロローグにすればいいじゃん、こっちこそオチが肩透かし感あるんだから先にオチ割ったほうが面白いタイプの話だと思うんだけど。
別に他の話でもいいけど起承転結のある話をプロローグとエピローグにしてほしい。今回の話、起・承で終わってる。
他の話は面白かった。特に「天才の国」から「秀才の国」への流れが相変わらず皮肉たっぷりで好み。
キノの旅 (19) the Beautiful World (電撃文庫)
- 作者: 時雨沢恵一,黒星紅白
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/10/10
- メディア: 文庫
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密室の中で繁栄する〔少女庭国〕
久しぶりにやばい本を読んでしまったので全力でシェアさせていただきたい。
まずあらすじを引用する。
卒業式会場の講堂へと続く狭い通路を歩いていた中3の仁科羊歯子は、気づくと暗い部屋に寝ていた。隣に続くドアには、こんな貼り紙が。卒業生各位。下記の通り卒業試験を実施する。“ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n‐m=1とせよ。時間は無制限とする”羊歯子がドアを開けると、同じく寝ていた中3女子が目覚める。またたく間に人数は13人に。脱出条件“卒業条件”に対して彼女たちがとった行動は…。扉を開けるたび、中3女子が目覚める。扉を開けるたび、中3女子が無限に増えてゆく。果てることのない少女たちの“長く短い脱出の物語”。
あらすじに目を通してもらえればわかると思うが、いや逆に一切わからないとは思うが、ご察しの通り本書は不条理SFである。しかしただのバトルロイヤル物とは断じて違う。
わけもわからぬうちに密室に閉じ込められ、”卒業試験”という無理難題を押し付けられた少女は、扉を開けていくことにより瞬く間に13人に増える。扉を開けた向こう側には同じ境遇の少女が眠っていたのだ。いくつの扉を開けても増え続ける少女たち、終わらない密室に絶望し、憔悴しきった少女たちは”卒業試験”に取り組んでいく。
貼り紙に書かれた内容はひどくわかりにくいがつまりところ、少女が何人に増えたとしても「生き残れるのは一人だけ」ということなのだ。そう、一人が生き残るまでこの不条理な試験は続く。運命を受け入れ、それでもなお、最後まで懸命に生き抜く少女たちの姿の尊さたるや!!
少女たちが最後に選んだ生き様もすごく素敵なのだが、自分が好きなのはそんな少女たちの描き方――セリフの書き方にすごく胸がトゥンクする。以下本文より引用。
「ここどこ誰あなたたち」
「私仁科他四名、あなたここってどこだか判る」
「何? どこここ」女子は辺りを見回した。「何の部屋?」
「あなたも気づいたらここで寝てたの」
「私が何?」
「歩いてたらここに寝てたんじゃないの?」
「ていうかあなたら何?」
「私らも気付いたら閉じ込められてたの。卒業式行く途中だったんだけど」
「卒業式? 終わったの?」
「判んない。あなたも気付いたらでしょ?」
「何が」
「閉じ込められてんのが」
「私閉じ込められてんの?」
「多分」
「まじ何で」
「知らないよ。あのさ、説明するから聞いてくれる?」
「いいけども?」
「私たちも閉じ込められたの歩いてて気付いたら意識なくて。起きたらなんか知らない部屋じゃん。ドア開けたら隣でも人が寝てたの」
「どういうこと?」
「よく判んないけどそこの紙見て」
「何この紙?」
「私らのいた部屋にもこれ貼ってあったの。怖くない?」
「どこ貼ってあったの?」
「いたとこ」
「学校?」
「じゃなくてさ」羊歯子は当惑した。「え、いってる意味そんな判んない?」
ああこのわかりますか? 判らないけど分かる会話!!
主語とか述語とか接続詞とかぽんぽんすっとばして展開していくこの要領の得なさにすごくリアルな女子中学生を感じてしまう。理不尽にも密室に閉じ込められた女子中学生がこんな調子でお互い殺したり殺さなかったり生きたり死んでみたりする。面白くないわけがないんだなこれが。
閉じ込められた者たちが急速に現状を理解して(理解しないと話が進まないし)脱出を試みるのが密室を舞台にしたサスペンスやバトルロイヤルの作りだと思うが、女子中学生はまず共感を選ぶ。理解より先に不理解を共感する。しかし共感する者を増やしていく度に、より深い地獄へと落ちていく。
調べてみるとこの著者は他の作品でも同じようにリアルな口語体を交えた文体を使っているようで、しかしこの作品ほどこの文体に意味がある作品もないのではなかろうか。
一度読めば、この世界への尊さとかこうして小説という物語に触れている自分たちの儚さとか生きていることの窮屈さだとか人間社会についてまわるもろもろの汚い部分だとかに考え巡らすことを余儀なくされる。そんなお話でした。みんな読め。
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聞いてみた。「ラノベのしわざ」にされる理由
先日知り合いと会話してたら、ふとした折にちょうど「それラノベみたい!」ということを言われた。ラノベの認識自体人によって様々だし知らない人に同じことを言われても気にせず流すところだが、その知り合いというのが普段全くラノベを読まない人で、なぜ普段読まなく特に詳しくもないラノベに似ているという認識を持つに至ったのか、なぜ「ラノベみたい」なのか「アニメ」や「マンガ」じゃ駄目なのか。せっかくなので聞いてみた。
すると本人も、あまり深く意識していなかったようで、なぜ「ラノベみたい」と言うに至ったか考えながら教えてくれた。
- 昔は「エロゲみたい」「ドラマみたい」と言っていた。
- 最近のアニメの中でも、ラノベ原作は目立つ。
- 知らないタイトルのアニメはなんとなく全部ラノベ原作に見える。
- ラノベはいろんなジャンルがあるから、何かの作品に該当していそうな気がする。
- 知らないから、逆に無責任に言える。
とまあそんな感じのことが聞き出せた。
要約してみると「ライトノベルはいろんな作品があるから、なにかのシチュエーションを見かけた時に『ラノベみたい』と言っておけば、おそらく何かしらの作品にあてはまり同意を得られそう」ということのようだ。
ラノベには特徴づけられる要素がない。それゆえに、なにかしらにつけて「ラノベみたい」と言われてしまうのではないだろうか。
「アニメ化されるラノベの書き方」なんてない
これだけの作品が溢れる中、似たような設定と導入の作品が同じタイミングで放送されたことが面白かったです。「アニメ化されるラノベの書き方」みたいなマニュアルの存在を信じたくなるような。
ライトノベル原作アニメの共通点 ~ 学戦都市アスタリスク vs 落第騎士の英雄譚 - カモメのリズム
これと似たような言及は最近やたらと見かけるが、アニメ化されるラノベは決してアニメ化されるような要素を並べて書いているわけではない。書かれた要素の人気が出たからアニメ化されたのだ。
もちろん多くのライトノベルにとってアニメ化というのは大きな目標の一つに違いはないから、アニメ化しやすい設定やアニメ映えなどを考えながら書く作家も皆無ではないだろう。しかし今を生きるラノベ作家にとってアニメ化より重要なのは、次の巻を出してもらうことではないだろうか。
ライトノベルはそのほとんどがシリーズ物ではあるが、作者が望んでシリーズを書き続けられる作品は全体でもごく少数だろう。どんな人気作家だろうが売れなければ続きを書かせてもらえない。「物語シリーズ」がどんどん続く一方で「世界シリーズ」や「真庭語」は待ちぼうけだし、「灼眼のシャナ」が円満完結しても「A/Bシリーズ」は永遠に続きが出ないのだ。
続きを書くために創意工夫を凝らしたものが大勢に評価され、初めてアニメ化までこぎつけるのだ。最初からアニメ化される書き方なんてものがあるなら誰も苦労はしていない。様々な作品がいろいろな要素を書き連ねた中で、人気が出る要素を書けた作品のみがアニメ化されるに至った。だからアニメ化されるような人気作品は必然的にどこかの要素がかぶってしまうのだ。
さて、しかしだ。同じ原作もののアニメの中でも特にライトノベル原作は似寄った作品が多く見られるのも事実だ。漫画原作のアニメでは似た設定の作品が多いなんて話は聞かない。なぜライトノベル原作ばかりこうまで似寄ってしまうのか。それはライトノベルのサイクルの早さに起因するだろう。
ライトノベルは漫画に比べ、刊行スピードが早い。1年で4冊出るのはざらで、筆の速い作家は2ヶ月に1冊、もしくはそれ以上のペースで続刊を出していく。対して漫画はどうしても描くのに時間がかかる。雑誌に載って、それが単行本に纏まるまでの期間も考えると、作者の考えた内容が世間多くの読者の目に触れるまでに1年以上経っていることだってあるだろう。さらにその作品の人気が出て、シリーズが続いてアニメ化されるとなると5年以上の歳月はくだらない。読者にウケるだろう要素を思いついても、すでに何かの連載をしている漫画家は気軽に別作品を描き始めるわけにはいかない。そうするうちに、思いついた時には面白かった要素も、時が経って風化してしまう。
その点、生産スピードの早いライトノベルは読者の声のフィードバックも容易だ。今人気の要素をリサーチし数ヶ月後には作品として発表できる。いろんな設定を試しながら読者の感触がいいものを調べつつ作品を書ける。
特にWEB小説ではこれが顕著で、ランキングという人気が可視化される機能もあるおかげで、人気の要素はこぞって真似される。そのせいか流行り廃りのサイクルも早い。書き手は常に最新の流行のリサーチが求められる。決してどの作者もアニメ化作品の二番煎じ三番煎じをやろうとしているわけではない、どの作品も純粋に流行の最先端を研究している。ライトノベルはその生産サイクルの早さゆえに発表時期がかぶり、アニメ化のタイミングまで重なってしまうのだ。
結果としてアニメ組から「○○のパクリ」だとか「テンプレ乙」だとか叩かれる。
発表当時では最新の流行が、アニメ化されるころには“テンプレ”化してしまった。誰も最初からテンプレートを使用しているわけではない。
学戦都市アスタリスク<学戦都市アスタリスク> (MF文庫J)
- 作者: 三屋咲ゆう,okiura
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / メディアファクトリー
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落第騎士の英雄譚<キャバルリィ>【電子特装版】 (GA文庫)
- 作者: 海空りく
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2013/10/17
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