「最近のラノベ読者は主人公がすぐに異世界に行かないと途中で飽きる」という誤読
脚本家である小林雄次のツイートが話題を読んでいる。
ラノベ編集者から聞いた話によると、近年の観客は、主人公がすぐに異世界に行かないと途中で飽きてしまうらしい。個人的には徐々にフィクションラインを上げていく“焦らし”のある構成が好きなのだけど、今はこのタイプは少数らしい。そういえばアニメやラノベに限らず、最近の作品はみんなそうだな。
— 小林雄次 (@kobayuji) April 14, 2014
現時点で500RTを超え、ニュースサイト等でも取り上げられている。
最近のラノベ読者は主人公がすぐに異世界に行かないと途中で飽きてしまうらしい!|やらおん!
上記の記事に限らず多くの人は「ラノベ読者についての話」と解釈をしているが、これは誤読である。
発端となった小林雄次のツイートにはどこにも「ラノベ読者」とは書かれていない。
代わりに「近年の観客」と書かれている。
話題をたどっていくとこの一つ前に以下のツイートをしている。
『のび太の大魔境』のリメイクを観て懐かったのは、異世界に入り込むまで(ペコが言葉を喋り始めるまで)が長く、丁寧に描かれていること。異世界に入る始まるまでの“溜め”が長い。これは大長編ドラえもんに限らず、過去のファンタジーの傾向なのだけど、近年の作品はもっとテンポアップしている。
— 小林雄次 (@kobayuji) April 14, 2014
「ラノベ編集者から聞いた」という書き方のためライトノベルの話題と勘違いしそうになるが前後の流れを見ると昨今の映画についての話題だと分かる。
後のツイートで例としてあげている作品もいずれも映画作品である。
@428tolove 個人的には、ハリーポッターの大ヒット辺りから大きく傾向が変わった気がします。
— 小林雄次 (@kobayuji) April 14, 2014
@shigema 連続モノは特にそうですね。個人的には、主人公が異世界に入るまでに全体の3分の1を費やしていたエンデの『はてしない物語』や、現実と異世界の境を行き来する『パンズ・ラビリンス』のように、異世界が徐々に日常を侵食してくるタイプの物語がもっとあってもいいなのにな、と。
— 小林雄次 (@kobayuji) April 14, 2014
ラノベ編集が近年の映画の観客について詳しく知っているというのも変な話だ。おそらくは単なる与太話で、小林さんに話した編集者にしても小林さん本人にしても特に深い意味合いはなかったのだろうが、twitterでは前後の流れを捉えずに拡散されてしまうのでこういった誤読を生んだのだろう。
個人のRTはいいとしても、ニュースサイトは記事にするなら前後の話の流れくらいしっかり確かめてから記事にしてほしいものである。
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