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女装少年がハーレムで野球 石川博品の怪作『後宮楽園球場 ハレムリーグ・ベースボール』

 

後宮楽園球場 ハレムリーグ・ベースボール (集英社スーパーダッシュ文庫)

 

ハーレム物ばかりと嘆かれるラノベ界でガチの後宮小説を書くのは石川博品ぐらいだろうし、さらにその後宮で野球をやらせようなんて考えるのは小説界の中でも石川博品ただ一人だろうし、そんな素っ頓狂な内容を傑作に仕上げてしまえるのは世界ひろしと言えども石川博品だけだろう。

 
 
後宮に女装して忍び込んだ少年が野球をするという改めて文字に起こしてみるとだいぶおかしな話なのだが、読み進めてみるといつのまにか設定にほとんど違和感を感じなくなる。まるで手品だ。
最初こそ女の野球を下に見る主人公だが、すぐその認識を改める。
どの登場人物も全力なのだ。味方チームも敵チームもギャラリーでさえも、誰一人として茶化すものなどいない。みな真剣に挑んでいる。皇帝の寵愛を受けるという志を胸にして…。
 
 
そしてそんなぶっとんだ設定以上に魅力的で、人を惹きつけてやまないのが、主人公である海功こと香燻である。
14才の少年である海功は、皇帝を暗殺するという野望を秘めて、女装し、名を香燻と変え、後宮に潜入する。
後宮での生活は14才の少年を強く揺さぶる。無防備な宮女たちの色香。豪奢な生活。どこよりも安全な住居。実力主義なシステム。野球へとうちこめる環境。多くの誘惑に、それ以上に大きく立ちはばかる困難。14の少年にはいささか厳しい。ある者は強い信念で立ち向かうだろう。ある者は天性の才能で打開するだろう。ある者は運を味方にするだろうし、ある者は知恵を働かせ、ある者は立ち向かうのをやめるかもしれない。しかし香燻はこれらのどれにも属さない不思議な魅力を持っている。
いきり立つ情欲も、心燃やす野望も、親友との約束も、日々の楽しみも、仲間への想いも、自由への渇望も、野球への情熱も香燻の中ではどれもまだ等しく同じラインに存在している。なにを優先すべきか、なにを捨てるべきかまだ決めかねて、わからないでいる。等身大の、子供だ。やがては選ばなければいけない時がくる、しかしその時までいまやれることだけを全力で頑張る。そんな彼の、彼女の姿があまりにも輝かしくて、自分はますます石川博品作品に魅せられていくのだ。
 
 
 
 
 
 
さて、前置きはこれぐらいにして
 
 
今回の舞台は後宮とのことで、ど直球エロである。エロエロである。この石川博品、まったく自重してない!
開幕から舐めるようなケツの描写いれるわ、剃毛シーンを執拗に差し込んでくるわもうやりたい放題である。ネルリの野ションについて語り明かした読者からしてみれば「俺たちの石川博品がやっと帰ってきたぜー!ヒャッハァ!!」てなもんである。ネルリ好きは間違いなくハマるだろうと約束できる。
性欲を自重しないのが石川博品キャラの素晴らしいところだが後宮でやると生々しいとかそういう域を軽く三段跳びで飛び越えて、おそらくこの作品から野球を抜くとただの官能小説と化すだろう
まあそもそもハーレムに男突っ込んでえろえろにならないのがおかしいわけで、ヒロインも多いし関係者各位は可及的速やかにエロゲ化を推し進めるべきだと思います。
 
 
いやほんと年の瀬にこんな傑作を読めてよかった。これで無事に年をこせます。
未読の方は是非新年最初の一冊にいかがでしょう。